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翌朝、夫と差し入れを持って警察署に行く。 肌着、長袖のシャツ、歯ブラシ、洗面所に置きっぱなしだった入れ歯などすべて受付で ひとつずつチェックをされる。 「半袖肌着白一枚」 「カッターシャツ柄物一枚」 と担当の人が紙に書き込んでいく。なんだかクリーニング店のようだなと思った。 刑事さんから 「どうですか。お母さん意思確認出来そうですか」 と聞かれので 「まだしばらくは無理だと思いますけど、少しずつ聞いてみます」 と答えた。父のためにも早く母から「被害届なんか出さないよ」の言葉が欲しいのだが、元々 から意思疎通が決してスムーズではなかった人なので、今回は一層時間がかかりそうだと 思った。それに母も痛めつけられてすぐなのだから腹も立ってるだろう。落ち着く前にあせって 聞いて「極刑を強く望む」なんて答えられたら、思わず母の点滴を抜いてしまいそうである。 こんな時に急かしても仕方ない。今は時間の経過を待つことも大事なのである。 こうなると兄のことなど構っていられない。とりあえず病院にいるのだから凍死や戦死の 心配もない。兄に対しても、今回に至るまでの子どもとしての責任を感じて欲しいし感じる べきだと思ったけれど入院している人間に何かを求めても仕方ないし、それでまた体調でも 崩れたらどうしようもない。 「次にこそ倒れるのは私だ。誰も私より先に倒れさせないぞ」 と自分自身で決意を新たにしたばかりである。倒れた者勝ちの敗者復活戦は私が制覇する のだ。しかしそんなときに限って風邪の一つも引かない。今冬、私は健康に過ごし終える気が してすごく不満なのである。 父が拘留されて二日目の夜に携帯電話が鳴った。担当刑事さんからだった。 「その後お母さんどうですか」 「うーん。あんまり変わりないです。ほとんど寝てるんですけど」 「でもまあお母さんもお父さんを罰したいとかは思っておられないようかなあ」 「ええ。病院でも『おじいちゃーん』と父を呼んでるらしいです」 「ああ。じゃあお母さんもおうちに帰りたいという気持ちが強いんかな」 「そうですね。そんな感じですね」 「そしたらね、一応明日お父さんにはね帰ってもらおうと思ってるんよ。身柄引き渡しっていう ことでご家族の人、迎えにきてもらえますかね。」 「ああ。そうなんですか。分かりました。ありがとうございます。よろしくお願いします」 「それでね、ちょっと条件があってね、一つがね、お父さんとお母さんをもう同居させないという ことね。いわゆる再犯防止っていうことですわ」 「…はい」 「後はしばらくのあいだお父さん独りにさせんといて欲しいんですよ」 「はい。とりあえず姉と交代で実家に行く予定はしてるんですけど」 「そう。うん。まあはっきり言うと自殺防止やね。それがやっぱり僕らも一番怖いからね」 「はい。それは大丈夫です」 「そうですか。分かりました。そしたら明日…10時頃でよろしくお願いします」 「はい。ありがとうございました。よろしくお願いします」 横で会話を聞いていた夫が「なに?」という顔をして私を見た。 「親分、明日出所祝いですわ」 「そうなん。じいちゃん出れるん?良かったやん」 「朝の10時に来てくださいって」 「わかったわかった」 「ただもう、じいちゃんとばあちゃん同居したらあかんねんて」 「ああそうなんや」 「再犯防止で」 「ああ」 「いくら何でもそれはじいちゃんに言えんなあ」 「うーん」 「言うてもきっと。忘れるやろしなあ」 まだまだ拘留は長引くだろうなと思っていただけに、嬉しかった。高齢という面での配慮も あったのだろう。ただ「両親はもう一つ屋根下で暮らせない」という条件には胸が痛んだ。 もちろん私自身も母が退院しても家に連れ戻そうとは思っていなかったが、こうして改めて 警察から言われると 「ああ、もうお父さんはお母さんの世話が出来なくなっちゃうんだな」 「お母さんはもう死ぬまでおうちに帰ってこれないんだな」 そんな思いが心の中でぐるぐると重く渦巻いた。 私がもっと早くちゃんと二人に関わっていればなあ。 あのとき素直に病院の指示に従って検査入院させていたらなあ。 お母さんごめんね。お父さん。ごめんね。 愛し合いいたわり合って、せっかくここまでやってきたのに。これからが本当に互いの存在が 必要になるときなのに。いっそ父と母には 「おまえたち子どもが今まで何にもしてくれなかったから、こんなことになってしまった」 と怒り、呪い、嘆いて欲しいと思った。
by chiroru-pu
| 2008-04-11 21:35
| 60年後のロミジュリ
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